治療抵抗性うつの治療方針

治療抵抗性うつの治療方針について文献を元にまとめてみました。

外来などで前医から引き継いだり、転医してきた場合を想定してみました。

対象となる患者像

休職し、自宅療養中で1〜2剤の抗うつ薬で部分反応したが、焦燥感や希死念慮は強くないものの、抑うつ気分、意欲や興味の喪失、集中力低下、易疲労感などが残っており、自宅で臥床しがちな生活を送る患者を想定する。

まずは現在の症状を評価する

まずは、BDI、QIDS-SRなど自記式評価尺度で症状を定量的に評価する。HAM-Dなどは時間がかかるので外来ではお勧めできない。

副作用による可能性を検討する

すでに数種類の抗うつ薬が使われている場合、症状が副作用による可能性も考え、減量・中止も検討していきます。

・患者さんに聞いたり、カルテ記載などから効果があった抗うつ薬がわかれば残し、それ以外を減量・中止します。

・SSRIが2剤など薬効が類似しているものが併用されていればどちらかを減量・中止しましょう。

切り替え・増強・併用のいずれが良いか?

次に考えるのは、切り替え・増強・併用のいずれが良いのかを考えます。

出典:治療抵抗性抑うつに対し外来診療でできる薬物療法

上記のよると、 部分反応があれば、増強療法や併用療法に進むことになる。

一方で、反応がない場合や副作用が出て認容性に問題がある場合は、切り替えをすることとなる。

増強療法や併用療法では、部分反応を維持しつつ追加の薬剤によるさらなる改善も見込めるので、効果が出るまで早いと考えられる。

一方、切り替えの場合、新たな薬剤が効くまでに数週間の時間を要することから効果が出る時間は遅いと考えられる。

①増強療法について

増強療法として、各種ガイドラインでより多く薦められている薬剤は以下のようになる。

アリピプラゾール=クエチアピン>リチウム>リスペリドン>オランザピン=T3/T4>ラモトリギン

出典:治療抵抗性抑うつに対し外来診療でできる薬物療法

第一選択はアリピプラゾール、クエチアピン。第二選択はリチウムやリスペリドン。

次いで、オランザピン、T3/T4、ラモトリギンと続いている。

2022年のNicolas A Nuñezによるネットワークメタ解析では、ブレクスピプラゾールも効果があると報告されている。

②併用療法について

選択肢としては、ミルタザピン、トラゾドン、ミアンセリンがあります。

特にベンラファキシンとミルタザピンの併用が有名で、カリフォルニアロケットと呼ばれています。

参考文献:

治療抵抗性抑うつに対し外来診療でできる薬物療法 加藤 正樹

 Nuñez NA, et al. : Augmentation strategies for treatment resistant major depression: A systematic review and network meta-analysis. J Affect Disord, 302 : 385-400, 2022.

コメント

タイトルとURLをコピーしました